USB起動版Raspberry Pi OS 64ビットの初期設定 令和5年(2023年)1月版

令和4年(2022年)2月。旧名称Raspbianこと、Raspberry Pi OSの64ビット版が正式リリースされました。

64ビットに対応するRaspberry Pi 4ですが、ブートローダーの更新によって、USBストレージから起動が可能となりました。microSDカード無しで、Raspberry Pi OSを使用できるようになりました。

そのような理由から。

大容量のUSBストレージに64ビット版のRaspberry Pi OSをインストールし、起動・初期設定を行う手順を記録させて頂こうと思います。


64ビットに対応するRaspberry Pi

Raspberry Pi OS (64-bit)ですが、3機種に対応しています。

  • Raspberry Pi 3
  • Raspberry Pi 4
  • Raspberry Pi 400

このうち、この記事ではRaspberry Pi 4のみ対象としています。

Raspberry Pi 400は入手できず、検証できておりません。Raspberry Pi 3は試せておりません。

EEPROMのブートローダーが更新可能なRaspberry Pi 4のみ対象としている点、ご了承下さい。(Pi 3はUSBブート5秒縛りで苦しんだ記憶があります


使用する機材

Raspberry Pi 4本体

メモリー容量4GB版で検証し、問題なく起動しました。8GB版が恋しいです。

USBストレージはUASP(UAS)非対応のものを選択

私の場合ですが、使用するコンセントを1つで済ませたかったことと、USB電源を大量に使う予定があったため、USB電源の2.5インチHDDを接続しました。詳細はこちらの記事になります。

Raspberry Pi 4にコンセント1つでUSB 3.0 HDDを接続するには
Raspberry Pi 4はUSB 3.0端子が搭載されました。 高速なUSB 3.0対応ストレージを接続できますが、バスパワーの2...

外付けの3.5インチUSB HDDがいちばん手軽かと思います。ただし、その場合コンセントはRaspberry Pi本体とHDD用に2つ使用します。

USBストレージですが、「UAS UASP」と記述があるものは、Raspberry Piのブートに対応していないそうです。この点は十分にご注意下さい。購入時「UAS UASPと書いていないもの」を必ず選択して下さい。こちらの情報になります。

This is especially important with USB SATA adapters which may be supported by the bootloader in mass storage mode but fail if Linux selects USB Attached SCSI – UAS mode. See this forum thread about UAS and how to add usb-storage.quirks to workaround this issue.

推測で恐縮ですが、PS5/PS4はUASP UASに対応しているのでしょうか?PS4対応なら大丈夫な気もしますが確定情報ではありません

Type-C電源・電源ケーブル

Raspberry Pi 4本体と、USB HDDの給電に実際に使用しています。(あとでチューナーも接続する予定d

冷却用アーマーケース

Raspberry Piの冷却は、アーマーケースをお勧めします。具体的な実績ですが。録画サーバとして、2年ほど動かしています。暑い夏、冷房の無い部屋で運用していますが、室温40度以上の中、ファンなしで、一度もフリーズせずに動作しています。アーマーケースお勧めです!

キーボード・マウス

キーボード・マウスを接続したい場合、1つのUSB端子で両方の接続可能な、無線タイプをお勧めします。

microHDMI変換ケーブル

ディスプレイを接続する場合、microHDMI端子に対応したケーブルが必要になります。

購入時、必要な長さを十分にご確認下さい。


USBストレージへのRaspberry Pi OS書き込み

必要な機材が揃ったところで、Raspberry Pi OSをUSBストレージに書き込みます。

Windows PCにて「Raspberry Pi Imager」を使用しましたが、MacOS、Ubuntuも同じ手順になるようです。

こちらのサイトからダウンロードさせて頂きました。

OSの選択

Raspberry Pi Imager起動後。

「OSを選ぶ」→「Raspberry Pi OS(Ohter)」→「Raspberry Pi OS(64-bit)」を選択しました。

ストレージの選択

USBストレージを接続し、選択します。

Raspberry Pi OSのオプション設定

それでは「書き込む」・・・の前に。ちょっと待って下さい。

歯車アイコンをクリックます。

必要に応じて、あらかじめ次の設定を行っておきます。

  1. ホスト名:必要
  2. SSHを使用する場合「SSHを有効化する」:他のPCから接続する場合
  3. ユーザ名とパスワード:必要
  4. Wi-Fi設定:必要な場合
  5. WiFiを使う国:JP :必要
    • Wi-Fiを使用しない場合でも、使う国は設定しておいたほうが良さそうです
  6. ロケール設定:必要
    1. タイムゾーン:Asia/Tokyo
    2. キーボードレイアウト:jp

ここでホスト名、ユーザ名、パスワード、タイムゾーン、キーボードレイアウトは選択しておいたほうが、初期設定が円滑に進みます。

Wi-Fiを使用する場合も、ここで設定しておくと楽です。

ちなみにヘッドレス(キーボード・マウス・ディスプレイなし)で運用する場合、あとはSSHログイン後にロケールを設定すれば、設定完了となります。

イメージの書き込み

歯車アイコンの設定を保存しましたら、「書き込む」ボタンをクリックしてイメージを書き込みます。

こちらのメッセージが表示されましたら、書き込み完了になります。


USBストレージを接続してRaspberry Piを起動

Raspberry Pi 4から、microSDカードは取り外して下さい。

それでは、USBストレージを接続して起動します。

しばらく待っていると、次のような画面が表示されます。

起動直後、ファイルシステムが自動的に拡張されるようです。

続いてスプラッシュスクリーンが一瞬表示され、再起動するようです。

もしも、上記の画面が表示されず。待っていても変わらない場合、以下を確認します。

  1. USBストレージの容量が大きすぎないか
  2. USBストレージ(ケース)がUASP、UAS対応ではないか
  3. ブートローダーのバージョンが古くないか

ちなみに起動可能な容量ですが、具体的な定義がない状況です。

ブートローダーの仕様で決まりますが、ブートローダーが日々更新されております。起動しなかったら、小さい容量で試す、という流れが無難です。


起動しない場合はブートローダーを更新

USBストレージに問題が無ければ、Raspberry Pi 4のブートローダーが古い可能性があります。初期のRaspberry Pi 4のブートローダーは、USBストレージによる起動に対応していません。

しかし、EEPROMを更新することで、起動可能になります。次の記事の内容になります。

Raspberry Pi 4のブートローダーEEPROMを最新版に更新するには
令和4年、2022年12月現在。Raspberry Pi 4のブートローダーは、このような画面なのですね。ふむふむ。 公式のRaspb...

microSDカードにRaspberry Pi OSを書き込み、起動・更新することで、EEPROMのブートローダーが更新されます。

※22.12.31追記:再起動では更新されない場合があったため、念のためコマンドで更新しましょう。

# ブートローダーの手動更新コマンド
sudo rpi-eeprom-update -a
# その後必ず再起動
sudo reboot
# 再起動後にバージョン確認
sudo rpi-eeprom-update
vcgencmd bootloader_version
vcgencmd bootloader_config
# 電源OFF
sudo halt

その後、再度USBストレージを取り付けて起動してみて下さい。


Raspberry Pi OS起動後の初期設定

SSHでターミナル接続して設定する場合、下記の記事になります。

Raspberry Pi OS 64ビットのロケール設定  令和5年(2023年)1月版
先日、USBストレージから64ビット版のRaspberry Pi OSを起動できるようにしました。 イメージを書き込む前に、ホ...

コンソールとしてキーボード・マウス・ディスプレイを接続して設定する場合は、下記の手順になります。

イメージを書き込む前に、歯車アイコンで初期設定を行っておきますと。

このような感じで、デスクトップ画面が表示されます。

確かに、aarch64版64ビットのDebian bullseyeベースのRaspberry Pi OSが起動しています。

ストレージ容量の確認

dfコマンドでストレージ容量を確認します。

/bootパーティションが/dev/sda1となっており、確かにUSBストレージから起動されています。

/dev/rootの容量を確認すると、USBストレージのすべての容量が、ルートパーティションに自動拡張されています。

このあたりは、Raspberry Pi OSは親切な設計ですね。

他のOSでは、手動で拡張が必要なケースも御座います。

Raspberry Pi 4でUSBストレージから起動したFedora 37のパーティションを拡張するには
Raspberry Pi 4に、容量1TBのUSB HDDを取り付けて。 64ビット版Fedora 37 Serverを起動してみまし...

ロケール設定調整

画面をよく見ますと、メニューが英語のようです。確かに、タイムゾーンとキーボードの設定はしましたが、ロケールの設定がまだでした。

このあたりの設定を調整しましょう。

    1. 画面左上ラズベリーアイコン→「Preference」→「Raspberry Pi Configuration」を選択します。
    2. 「Localization」タブを選択します。
    3. 「Set Locale」ボタンをクリックします。
    4. 「Language」欄を「ja(Japanese)」に変更します。「Character Set」欄は既定で「EUC-JP」のようです。
    5. 必要に応じて「Characer Set」欄を「UTF-8」に変更します。こちらは使用するアプリやシステムに応じて調整する感じです。
    6. 画面の指示に従って再起動します。

Raspberry Pi Configurationの設定項目

ロケール以外の設定ですが。イメージの書き込み前に、必須の項目は設定済みですので、ほぼ調整する項目はありません。

Wi-Fiを使用しない場合ですが。ターミナルでSSHログインした時、Wi-Fiの国設定がされていないと、警告が表示されます。Wi-Fiの国設定を「JP」にしておいたほうが良いかもしれません。

基本的には、たとえばGPIOを有効にしたり、冷却ファンを設定する場合など、使用する目的に応じて、設定を追加するかたちになります。

System

  • パスワード:設定済み
  • ホスト名:設定済み
  • ブート設定:デスクトップかコンソール(コマンドライン)
  • 自動ログイン
  • ネットワークブート
  • 起動時のロゴ表示

Display

  • アンダースキャン
  • スクリーンセーバー(ブランク)
  • ディスプレイ接続しない場合の解像度設定

Interfaces

  • SSH:設定済み
  • VNC
  • SPI
  • I2C
  • Serial Port
  • Serial Console
  • 1-Wire
  • Remote GPIO

Performance

  • GPUメモリー量
  • オーバーレイファイルシステムの有効化
    • microSDカードの寿命を伸ばす効果がありますが、副作用もあるようです
    • dockerが起動しなくなったため、既定の無効で使用しています
  • ファン
  • ファンGPIO
  • ファン温度

Localisation

  • ロケール
  • タイムゾーン:設定済み
  • キーボード:設定済み
  • ワイヤレスLAN国設定:JPに設定されているか確認します


OSの更新

最後に、aptコマンドでOSを最新の状態に更新しておきます。

sudo apt update
sudo apt upgrade -y

画面が化けているのは、キャラクターセットがEUCに対して、SSH接続したターミナルがUTF-8のためでした。

SSH接続する場合、キャラクターセットはUTF-8にしたほうが良さそうです。


このような感じで。Raspberry Pi 4をUSBストレージから起動して、64ビット版Raspberr Pi OSを使用する環境ができました。

microSDカード、本当に不要になりましたね。

ブートローダーも更新が進み、問題なく使用できる状況に思えます。

Raspberry Pi 4の性能を最大限に引き出しつつ、大容量かつ長期間安心して使用できるストレージが利用できるようになりました。

さて。次は何を動かしましょうか?

dockerコンテナでサービスを構築するのも良さそうです。

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