一昔前は。ワイヤレスオーディオといえば、FMトランスミッターか、赤外線ワイヤレスヘッドホンでした。
2017年現在。主役はすっかりBluetoothに移った感じです。
しかし、Bluetoothオーディオの問題は「音ズレ。あれ、声が、遅れて、聞こえるよ?」
電話で通話する場合や、「音楽だけ」聴く場合は、音声の遅延はそれほど問題ではありません。
しかし、映画等の映像を見る場合。映像と音がズレているのが気になりだすと、ムズムズしませんか?
そしてゲームの場合は、集中して見ている分、もっと違和感を感じやすいと思います。音ゲーでは、遅延が致命的な問題になります。
aptXローレイテンシー
CSR、現在はQualcommの「aptX ローレイテンシー」ソリューションは、ビデオとゲーム向け用途として、高音質・低遅延でワイヤレス・オーディを実現する技術(コーデック)です。詳細はこちら(aptX仕様へのリンク)になります。
音質的なポイントは・・・
- 48kHz/16bit LPCM対応
- レイテンシ40ミリ秒未満
88.2kHz, 24bitといったハイレゾオーディオではありませんが、CDの仕様(44.1kHz/16bit/LPCM)以上です。通常の映像鑑賞とゲーム(音ゲー以外)目的では特に問題ないと思います。
また40ミリ秒という数値は、遅延の検知限より小さいと言われているようです。個人差はあるかと思いますが、一般的に音声と映像のズレに気づかないレベルのようです。
aptXローレイテンシー対応製品
さて。具体的な対応製品を探してみましょう。
まず、aptXの紹介ページに、製品検索ページがあります。aptX typeとして「aptX Low Latency」を選択すれば、該当製品が探せます。
しかしながら、全ての対応製品が載っているわけではなく、ごく一部のようです。aptX製品ページに記載されていない製品も、お店で探せると思います。
トランスミッター(送信機) USBアダプタタイプ
REIYIN WT-04
2018年9月登場。PC、PS4に対応した、USB端子接続のaptX LL対応トランスミッターです。USB端子に接続すると、サウンドカードとして認識されました。本体のペアリングボタンを3秒間押して、手持ちのヘッドホンとペアリングしたところ、問題なく使用することができました。
Creative HP-BTW2
2015年7月登場。PlayStation 4にも対応した、PC用のBluetoothトランスミッターです。ワイヤレスのヘッドホン/スピーカーを低遅延で使えるようになります。後述のaptX LL対応のヘッドホン/スピーカー等と組み合わせて使用しましょう。ハードウェア的にaptX LLに対応しているため、標準のBluetoothドライバとUSBオーディオドライバの組み合わせで、aptX LLコーデックに対応できるようです。
Windows 10のPCで、aptX LLを使いたい時。技適マークがあり、かつPCに正式に対応している製品は珍しと思います。海外では、Avantree Leaf Bluetooth Adapterといった製品もあるようですが、国内で取扱が無いようです。
※17.8.23追記:BT-W2のマニュアルを拝見したところ、ペアリング(登録)できるレシーバー(スピーカー・ヘッドホン・イヤホン)は1台のようです。同時に複数のレシーバーを使用したい場合、PlayStation 4やPCの光デジタル端子にトランスミッターを接続する方法や、HDMI端子から光デジタル端子を分岐する方法も御座います。
トランスミッター(送信機) 光・ライン入力タイプ
Anker Soundsync
2018年3月登場。aptX LLとaptX HD両対応のトランスミッター(送信機)/レシーバー(受信機)です。各種の入出力(Micro USBケーブル、AUXケーブル、RCAケーブル、光ケーブル)に対応しています。Bluetooth 5.0に対応しており、さらに18ヶ月保証つきです。送信モード時、2台のヘッドホン/スピーカとのペアリングに対応しています。製品紹介ページの取扱説明書を拝見すると「You can play music on both headphones / speakers at same time. 」とありますので、2台同時の音楽再生に対応しているようです。
TaoTronics TT-BA10
2017年10月登場。Bluetooth 4.1、光、ライン、ヘッドホン端子すべてに対応しています。製品紹介ページからマニュアルを拝見したところ、レシーバー(ヘッドホンやスピーカー、イヤホン)の2台同時接続も対応しているようです。
TaoTronics TT-BA09
2016年8月登場。Bluetooth 4.1、aptX LL対応のモバイル(バッテリー内蔵)トランスミッター&レシーバーです。通常のアナログ入力と、光デジタル接続に対応しています。マニュアルを拝見したところ、送信モード、受信モードの両方で、同時2台接続に対応しているようです。
Inateck BR1005-BK-JP
2017年3月登場。aptXローレイテンシー対応で、光デジタル端子に対応しています。バッテリー内蔵で持ち運びも可能ですが、充電しながら使用可能ですので、据え置き使用でも良さそうです。
トランスミッター(送信)として使う場合はaptX LL対応ですが、レシーバー(受信)はローレイテンシー非対応でした。
マニュアルを拝見したところ。トランスミッターとして使う場合、ヘッドホンやスピーカーは2台同時使用可能で、4台までペアリング可能のようです。
August MR270
2016年7月登場。光端子に対応しているのに、とても小型です。メーカー仕様を拝見すると、「two pairs of headphones at the same time」とありますので、小型ながら、ヘッドホン2台同時接続にちゃんと対応しているようです。
Tsdrena HEM-BLVTTRE
2016年12月登場。光端子に対応し、ペアリングも2台に対応しています。テレビの横に貼り付けられるシールが付いています。場所を取らない面白い工夫ですね。
Avantree BTTC-500-W
2017年7月登場。これは遠くまで電波が飛びそうですよ。Class 1(50m)対応のaptX LL対応トランスミッター/レシーバーです。光、ライン、ヘッドホン端子すべてに対応しています。メーカーの仕様ページからマニュアルを拝見すると。送信モードのときは「When using dual-link, Oasis doesn’t support aptX low latency.~2台接続したときはaptX LLをサポートしません」。とありますので、複数の機器とペアリング(登録)する場合はご注意下さい。
ヘッドホン・スピーカー・プリメインアンプ(受信機)
こちらの記事を御覧ください。
音質に問題はないのか
基本的にCDと同程度(48kHz/16bit)の音質が保証されています。
電子レンジや障害物等によって電波障害が起きると、音質が一時的に悪くなります。録音等の記録用には向かず、聴く環境での用途に向いてるかと思います。
aptX LL対応製品をいくつか入手して、実際に使ってみました。
その結果、気づいたことがあります。
「入力される音声のボリュームが小さいと、音が聞こえなくなる場合があります。その場合、トランスミッターのつなぎ先を変えると改善できます。」
配線に問題がある場合、感じとしては「大声の会話は(ワイヤレスで)ちゃんと聞こえるのに、小声の会話はいきなり無音になる」感じです。
検証と対策をこちらの記事に記載致しました。宜しければご参照下さい。
具体的なトランスミッターの接続方法
上記のボリュームが小さい時の問題を解決したうえで、光・ライン出力端子が無いPCのディスプレイにトランスミッターを接続しました。
FMや赤外線トランスミッターの音質以上の、光デジタル出力音質でワイヤレスのヘッドホンやスピーカーを使用することができます。
宜しければご参照下さい。
他に低遅延の選択肢はないの?
Bluetoothオーディオの各種コーデックを簡単にまとめてみました。
「音質の劣化がない(lossless)」「遅延は40ミリ秒以下にすること」と定められている低遅延のコーデックはaptX ローレイテンシー一択になります。
遅延よりも音質に重点を置く場合。ワイヤレスでハイレゾ・サウンドを楽しみたい場合は、aptX HDやLDACが選択肢となります。(音のズレは大きいですが)
ノイズ(雑音)が入る場合の注意点
USB電源について
テレビやPCゲーム機などのUSB端子からトランスミッターの電源を取る場合、音声に雑音(ノイズ)が入る場合があるようです。
その場合、USB電源アダプタを使うことでノイズが解消されるそうです。
ヘッドホンを2台接続する場合
ヘッドホンやスピーカーを同時に2台接続する場合、2台ともaptX LLに対応している必要があるかと思います。
1台が対応していない場合、音ズレや雑音(ノイズ)が発生する場合があるようです。
※18.12.17 TaoTronics TT-BA09を追加しました。
※18.6.18 Anker Soundsyncを追加しました。
※18.3.24 TaoTronics TT-BA10を追加しました。
※17.7.26 Avantree BTTC-500-Wを追加しました。
※17.7.19 Tsdrena HEM-BLVTTRE, August MR270を追加しました。