Raspberry Piに、スティック型のSSDを接続してみました。
SSDの消費電力ですが、不明な点が多い印象です。メーカーの仕様ページを拝見しても、消費電力が記載されていないケースが多いように思えます。
また、Raspberry PiはUSBで使用できる電力が厳しい印象です。消費電力が大きいデバイスを接続すると、雷マークが表示されて、動作が不安定になる場合があります。
USBスティックSSDからOSを起動して、安定動作するのでしょうか?使い続けて問題ないでしょうか?そのあたりを整理してみようと思います。
目次
Raspberry Pi 4に接続するUSBスティック型SSD
こちらのスティック型のSSDを使用します。容量は1TBを選択しました。容量1TBのHDDを使用していますが、近年、1TBの容量でしたらHDDよりもSSDのほうが安価に購入できるケースも増えてきました。
容量、価格に問題が無く。また容積もコンパクト、衝撃にも強いという利点を考えますと。Raspberry Piに接続する場合、動作速度・電源容量・耐用年数の3点が懸念点として残ります。
microSDカードは使用せずにUSB SSDから起動を想定
ブートローダーを更新することで、USB接続のストレージから、OSを起動することが可能となりました。
半年程度で壊れてしまうmicroSDカードは使用せず。USB接続のSSDから起動して使用することを想定して検証します。
Raspberry Pi OS 64ビットをSSDにインストール
OSは、Raspberry Pi 4の性能を最大限引き出せる、64ビット版のRaspberry Pi OSを選択しました。
インストール手順はこちらの記事になります。まずは、Windows/Mac/Ubuntu PCにSSDにを接続して、OSイメージを書き込みます。
USBスティックSSDにつきましても、同じ手順で問題なく書き込む事ができました。
接続するUSBデバイスは、SSDとワイヤレスキーボード・マウス用レシーバーの2点
Raspberry Pi 4でスティック型SSDが安定動作するかの検証にあたり。USB端子に接続するデバイスは最小限にしたいと思います。
次の構成としました。
- HDMI端子にディスプレイを接続
- Type-C電源端子に、容量3.0Aの電源アダプタを接続
- Ethernet端子にLANケーブルを接続。
- スティック型SSDを接続
- ワイヤレスキーボード・マウスを接続するため、Logicool Unifiedレシーバーを接続
USBデバイスとして接続するものは2点。SSDとワイヤレスキーボード・マウス用のレシーバーになります。
ワイヤレスの理由ですが、やはり消費電力を小さくするためです。有線のデバイスは消費電力にばらつき、大小があるため、そちらを避ける目的もあります。またキーボード・マウスを接続しないという方法もありますが。使いたくなったときに、接続して動作が不安定になる、という事態を避けるため、最初から接続しておきたい、という理由もあります。
以上の構成で、Raspberry Piを起動します。はたして正常に起動するのでしょうか?
この構成では問題なくスティック型SSDから起動
初回起動時は、ルートパーティションの拡張が行われます。SSD起動ということで。容量は1TBありますが、パーティションの拡張は20秒弱で終わりました。
microSDカードの場合、64GB~128GBの容量で、数分待たされるケースもあります。
最初からSSDの速度の速さを体感できました。
問題なくRaspberry Pi OSデスクトップが表示されました。
雷マークは表示されず、動作が不安定になる気配もありませんでした。ルートパーティションの容量は931GBのようです。
容量1TBのSSDとして正常に認識されています。
OS更新も問題なし
Raspberry Pi本体とSSDに負荷をかける目的も兼ねて、OSを更新してみました。
更新中、雷マークが出ることはなく、全く問題なく更新が完了しました。
USB端子ごとの電力を確認
本当に問題が無いのか?その確証を得るにはどうしたら良いのか?
その疑問を解くため。USBの電力量を確認したいと思います。詳細はこちらの記事になります。
こちらのコマンドで。USBスティックSSDの電力を確認してみましょう。
lsusb -v 2>/dev/null | grep -e 'MaxPower' -e 'Bus [0-9]'
- Raspberry Pi内蔵デバイス
- Linux Foundation 3.0 root hub 0mA
- Linux Foundation 2.0 root hub 0mA
- VIA Labs. Inc. Hub 100mA
- Unifying Receiver 98mA
- SSD-PUT/N 896mA
ふむふむ。
スティック型SSDの電力はおよそ900mA
というわけで。今回使用したスティック型SSDに必要な電力は、896mA。およそ900mA必要であることがわかりました。
Raspberry Pi 4 Model B+のUSB端子に供給可能な電力は1200mAです。よって、4分の3、75%がSSDに消費される計算になります。
ワイヤレスマウス・キーボードのレシーバーが、98mA。およそ100mAのため、SSDと合わせて1Aの電力を消費する計算です。
前述の記事から。4チャンネル同時録画が可能なチューナーを接続した場合、500mAの電力が必要になります。
よって、SSD+チューナ=900+500=14000mA=1.4Aの電力が必要となり、Raspberry Pi 4 Model B+本体の電源容量、1.2Aでは不足する事がわかりました。
うーむ。SSDの消費電力は、本当に大きいですね。チューナーと同時に使用したい場合、半分の450mAくらいで抑えないと、Raspberry Pi本体では無理という結論になりました。
SSDの動作速度
せっかくですので、SSDの速度を測定しておこうと思います。
測定は、こちらを使用させて頂きました。
こちらのコマンドを実行すると、接続されたストレージの速度を測定してくれます。
sudo curl https://raw.githubusercontent.com/TheRemote/PiBenchmarks/master/Storage.sh | sudo bash
使用したRaspberry Pi 4は4GBモデルになります。測定結果は4GBモデルのスコアになります。
まずはSSDですが。 Buffalo model: SSD-PUT Nとして認識されて。
- Disk Read 256.97MB/s
- Cached Disk Read 233.06MB/s
- Disk Write 134MB/s
このような感じです。スコアは7400。
比較のため。HDDの場合は。同じく容量1TBの、2.5インチHDDの場合。
- Disk Read 116.96MB/s
- Cached Disk Read 217.18MB/s
- Disk Write 79.3MB/s
このような結果です。スコアは1539。
読み込み速度に関してはSSDは倍以上早く。スコア、体感速度は数倍早いという測定結果になりました。
耐用年数については、正直良くわからないのですが。動作速度はHDDよりもSSDのほうが2倍以上早く、体感速度も大きく改善されることがよくわかりました。
今回、Raspberry Pi 4のUSB端子にSSDを接続し、必要な電力量を表示してみました。
USB端子にSSDを接続して、安定動作するのか?は、今までよくわからず、正直モヤモヤしていた感じがありました。
今回の測定結果からモヤモヤはすっかり消えて「SSDだけ接続すれば安定動作する。でも900mAの電力を消費する。」「チューナーは500mA使用するので、SSDと同時に接続できない。セルフパワー対応のUSBハブを使用して、別途給電がが必要。」という事が明確にわかりました。
動作速度に関しては、SSDはHDDよりも早いことが明確にわかりました。体感的にもよく分かるレベルです。
なお、SSDは機種によって消費電力・速度が全く異なります。今回の結果が、他のSSDの動作を保証するものではありません。私のおうちの、特定の製品の一例になります。製品ロットにより、部品構成が異なる場合もあるため、同一機種で、動作を保証するものではありませんのでご了承下さい。
とはいえ、測定方法については、今後、Raspberry PiでSSDを使用する場合の参考になれば幸いです。
ではまた!