Raspberry Piにカメラを搭載して防犯カメラのように使用したい場合や、GPSモジュールを取り付けてNTPサーバとして使用したい場合など。
設置したい場所で、LAN配線や電源(コンセント)の確保が難しい場合があるかと思います。
LANはWi-Fi(無線)という手もありますが、NTPサーバにしたい場合など、遅延の影響でWi-Fiは使用できず、必ず有線のLAN配線が必要かと思います。
近年、比較的安価なギガビット対応のLAN配線による給電システムが販売されているようです。コンセントが無い場所へ、LANケーブル1本でRaspberry Piを設置できるように。PoEでRaspberry Piに給電するシステムの作成方法を記録したいと思います。
目次
Raspberry PiのPoE給電システム構築手順
ギガビットLANが使用できてかつ安全な条件
最初、PoEではないLAN配線の給電システムを検討しました。実際にケーブルを購入して配線を検討してみましたが、下記の理由から、電圧48V対応のPoE機器を用意する事にしました。
- LANケーブルは10BASE-Tや100BASE-TX仕様では予備配線(NC)が用意されていましたが、1000BASE-T(ギガビット)では予備配線が無くなりました。このためPoEではない給電システムではギガビットLANが使用できず、100Mbpsか10Mbpsになってしまいます。
- 12Vや5Vの給電では、LANケーブルが長くなると電圧が降下してしまい、接続する機器(Raspberry Pi)の動作が不安定になります。
- PoEに準拠していない場合、配線の種類(ストレート・クロス)により、電源の+ーが変わり、機器が破損する危険性があります。
- 大きな電源容量が必要な場合(たとえば5V2A=10W程度)、LANケーブルに直接2Aを流すと、ケーブルが発火する等の危険性があります。PoEの場合、LANケーブルに高い電圧(48V)で少量(数十mA)の電流を流し、後から低い電圧に変換することで、安全に大きな電源容量を取り出すことができます。
PoE対応でも、ギガビットに対応していない製品があるようです。確実にギガビットLANが使用できて、かつ安全で、大きな電源容量を取り出せる、下記のPoE機器を使用しました。
必要な機材
PoEインジェクター・スプリッター
PoEのインジェクター(送電側)と、スプリッター(受電側)の2つの機器が必要のようです。48Vで送電できる、下記の機器を使用しました。
DCプラグの変換
スプリッターから取り出した電源を、Raspberry Piに給電するために、下記の機材を使用しました。
インジェクター(送電側)配線
送信側のインジェクターは、このような感じです。たとえばご自宅のLAN配線と、コンセントを用意して接続します。スプリッター側への配線は、Raspberry Piを設置する場所まで、LANケーブル1本で配線します。
LAN端子を抜き差しすると、火花が出る場合があるため、コンセントはすべての配線が終わった後に接続して下さい。
スプリッター(受電側)配線
電圧の設定
取り出す電圧の選択が可能です。Raspberry Piを接続するため、5Vにセットしました。
Raspbery Piの電源配線
Raspberry Piへの給電は、GPIOから行いました。DC電源アダプタ(オス)にジャンパーワイヤーを接続します。
スプリッターとRaspberry Piを配線
スプリッターとRaspberry Piは、LANケーブルと電源の2つの配線になります。
まとめ
全体的にはこのような感じになります。大きく3つのブロックになる感じです。
- LAN配線と電源(コンセント)がある場所に、インジェクターを設置。
- インジェクターからRaspberry Piを設置したい場所まで、LANケーブルを配線。
- スプリッターとRaspberry Piを設置。
上記の写真の構成で、実際にRaspberry PiをLAN配線の給電で起動して、別のPCからSSHでログインすることができました。
スプリッターとRaspberry Piの間のLAN配線は、扱いやすい、カテゴリー6aのフラットケーブルが良さそうです。いちばん短い1mで大丈夫かと思います。
インジェクターとスプリッター間のLAN配線は、100mまで大丈夫のようです。安全性の高いシールドのあるSTPケーブル=カテゴリー7のフラットケーブルを、設置場所への距離に合わせた長さで用意する感じでしょうか。
48VのPoEによる配線は、安全性が高く、かつギガビットLANも使用できて、安心して使用することができます。
電源の問題が解決したところで。
カメラ+GPSモジュールを搭載したRaspberry Piを、窓際に実際に設置して。
NTPサーバや動画のストリーミングで遊ぶのも面白そうですね。
コメント
これを使うと簡単に実現できますよ
https://www.amazon.co.jp/dp/B01MDLUSE7/
金田様 はじめまして。
コメント頂きまして、誠にありがとうございます。
スプリッター(受電)側で、電源端子がmicroBのタイプですか。ふむふむ。
同じメーカーの製品で、ギガビット対応版は、こちらのようですが
https://amzn.to/2FpVqXY
ギガビットが不要な場合、ご紹介頂いた製品が、お手頃で良さそうですね。ふむふむ。