Raspberry Pi 4でNASを作ってみました Raspbian Buster Openmediavault 5版

Raspberry Pi 4 Model Bに、Openmediavault 5をインストールしてNASを作ってみました。

ストレージは、USB 3.0端子に容量512GBのSSDを接続してみました。

USB 3.0端子の効果で、上図のようにファイル転送速度は60MB/sから110MB/s程度のようです。

使用したOS、Raspbian Busterは32ビットOSのためか、ハードウェアが持つ本来の64ビットの性能は出せていない感じもしますが、十分に実用的な速度かと思います。

構築手順を記録しておこうと思います。

※23.1.8追記:64ビット版Raspberry Pi OS + OpenMediaVault 6の新しい記事が御座います。

64ビット版Raspberry Pi OSでNAS構築 OpenMediaVault 6 令和5(2023)年1月版
64ビット版のRaspberry Pi OSに、OpenMediaVault 6をインストールしてみました。 USBストレージ...

ぜひ、こちらの新しい記事を御覧ください。

以下、OpenMediaVault 5の古い記事になります。


インストール手順について

公式Getting Startedガイド

公式のOMV Getting Startedガイドを拝見すると。

ARM ハードウェア向けのOMVはインストールスクリプトにより提供され、Raspberry Pi model 2B以降と、様々なシングルボードコンピュータ(SBC)用のプラットフォームのArmbianサポートする記述があります。ふむふむ。

SBC向けインストールガイド

Debian 10 “Buster”向けのOpenmediavaultのバージョンは、OMV 5.Xになるようです。具体的なインストール手順は、こちらの公式フォーラム内の各種リンクから情報を得ました。

Raspberry Piへのインストール、Armbianへのインストール、そしてシングルボードコンピュータ(SBC)ではない、i386へのインストールに関するドキュメントが存在するようです。

今回は、Raspberry Pi向けのAddendum Bの内容に沿ってインストールしました。


インストールの大まかな流れ

次のような流れになります。

  1. Raspbian Buster Liteをインストール。
  2. Openmediavault 5をインストール。
  3. タイムゾーン、ネットワーク設定、ユーザ作成等初期設定。
  4. SMBサービスの有効化、ストレージのマウント等、NASとして設定。

Raspbian Buster LiteのOpenmediavault 5インストール手順

最初、Liteではない通常のRaspbianでインストールを試したのですが、webguiがうまく動作しない等の理由で、うまく行きませんでした。

インストールガイドに従い、Raspbian Buster Liteをインストールしました。

Raspbian Buster Lite起動用microSDカード作成

Raspbianダウンロードページから

下段のRaspbian Buster  Liteをダウンロードしました。2019年9月26日版になるようです。

7-zipでzipファイルを展開後

etcherでmicroSDカードにRaspbian Buster Liteのイメージを書き込みました。

今回は64GBのUHS-I U1のmicroSDカードを使用しましたが、特に問題ありませんでした。


SSH有効化

イメージを書き込んだmicroSDカードをファイル・エクスプローラで開き

「ssh」というファイルを作成しておきます。これでRaspbian起動直後から、SSHによる仮想コンソールへのログインが可能になります。


Raspbianへのsshログイン

Raspberry PiにmicroSDカードと有線LANケーブルを接続、type-C電源を接続して起動します。HDMIディスプレイを接続する場合、micro HDMI端子にご注意下さい。

Windows PCからTeraTermでSSHログインしました。

Raspberry PiのIPアドレスの探し方は、よろしければこちらの記事を御覧ください。

sshログインのユーザ名/初期パスワードは、pi/raspberryのようです。


piユーザのパスワード変更

ログイン後、パスワードを変更し、sshグループへpiユーザを追加しておきます。

passwd
sudo adduser pi ssh

Raspbianの更新・再起動

OSを更新後、再起動して更新を反映します。

sudo apt-get update
sudo apt-get upgrade
sudo reboot


OMV5インストール

sshログイン後、Openmediavault 5をインストールします。

wget -O - https://github.com/OpenMediaVault-Plugin-Developers/installScript/raw/master/install | sudo bash

wgetでインストールスクリプトを取得し、bashで実行するかたちです。おうちの環境では、30分ほどで完了しました。※環境により時間は異なります。

再起動してOpenmediavaultを起動しましょう。

sudo reboot


Openmediavault 5初期設定

Web GUIへのログイン

WebブラウザでRaspberry PiのOpenmediavault Web GUIを開きます。

http://<raspberry PiのIPアドレス>

ユーザー名/初期パスワードはadmin/openmediavaultのようです。

このような感じで、たしかにRaspberry Pi 4でOpenmediavault 5が動作しているようです。


タイムゾーン設定

左ペインメニュー→日付と時刻にて、タイムゾーンをAsia/Tokyoに変更しました。


DockerとPortainerを使用する場合eth0をDHCPに設定

おそらく、Dockerを使用する場合かもしれませんが。スタートガイドに従い、左ペインメニュー→ネットワーク、右ペインタブ→インタフェースを選択後、追加ボタン→イーサネットを選択します。

名前に「eth0」を入力、IPv4メソッドに「DHCP」を選択します。


固定IPアドレスを設定する場合

このような感じで、メソッドにスタティックを選択後、アドレス、ネットマスク、ゲートウェイ、DNSサーバーを入力→保存→変更を反映すると、固定IPアドレスを設定することができました。


piユーザのパスワード設定

NASとして使用する場合のユーザーを設定しましょう。

左ペインメニュー→ユーザーを選択すると、piユーザが登録されています。右ペイン→piを選択後、「編集」ボタンをクリック。

パスワードを設定しておきます。これでpiユーザでNASとしてアクセスすることが可能になりました。


SMB/CIFSサーバ設定

Windows PCのNASとして使用する事を想定して、SMB/CIFSサーバとして設定してみたいと思います。

SMB/CIFSサーバ有効化

左ペインメニュー→SMB/CIFSをクリック、右ペイン→一般設定→有効をクリック、「保存」ボタンをクリックします。

これでSMB/CIFSサーバ機能が有効になりました。

Windows PCからRaspberry Piへアクセスします。

\\raspberrypi
または
\\<Raspberry PiのIPアドレス>

先程設定したpiユーザでアクセスできるかと思います。まあ、まだ共有フォルダを設定していませんので、空っぽですが。Raspberry PiをNASとして動作させる基盤ができている、という実感が得られるかと思います。


USB 3.0端子へストレージを取り付け

USB 3.0端子に、HDDやSSD等のストレージを取り付けましょう。

3.5インチHDDの場合

普通に、3.5インチの外付けHDDを接続する方法が一番良いと思います。電源供給が安定しますので。

2.5インチHDDの場合

電源分岐ケーブルを利用して、コンセント1つで、2.5インチHDDを取り付けてみました。詳細はこちらの記事になります。

SSDの場合

SSDの場合、そのまま接続すると動作が不安定な場合があるようです。電源供給の問題のようです。このような感じで、セルフパワードのUSBハブを経由して、容量512GBのSSDを接続してみました。

SSD接続に関する詳細な記事はこちらになります。

SSDを直接Raspberry Pi 4に接続した場合、安定動作しませんでしたが、上記の構成では問題なく安定動作するようです。


USB接続したストレージのブロックデバイス確認

左ペイン→ストレージ→ディスクメニューをクリックして、接続したストレージが認識されているか確認します。このような感じで、接続したSSDは、/dev/sdaとして認識されています。


ファイルシステム作成

接続したSSDにファイルシステムを作成しましょう。

左ペイン→ストレージ→ファイルシステムを選択、「作成」ボタンをクリックします。

デバイスに接続した/dev/sdaを選択。ラベルはシンプルにhd1にしてみました。ファイルシステムは既定でEXT4が選択されています。
しばらく・・・というかそこそこ?・・・結構待っていると、このような感じでファイルシステムに/dev/sda1が追加・認識されます。/dev/sdaがストレージ(ドライブ)、/dev/sda1がファイルシステム(パーティション)ということで、使用できる準備ができた感じでしょうか。


共有フォルダ作成

作成した/dev/sda1を、SMB/CIFSサービスからアクセス出来るように設定しましょう。

左ペイン→SMB/CIFSをクリック、右ペイン→共有タブをクリック、「追加」ボタンをクリックします。

共有フォルダとして、hd1を選択後、名前としてそのまま「hd1」を入力してみました。


以上で、Raspberry Pi 4にOpenmediavault 5をインストール、USB 3.0端子にSSDを接続、容量512GBのNASとして使用できるような設定が完了しました。

このような感じで、作成した共有フォルダにアクセスできるようになりました。

転送速度はピーク時は110MB/sを超えるようです。ギガビットEthernetの性能を発揮できている感じです。

Raspberry Piシリーズということで、安定動作が期待できる反面、USB 3.0端子への給電能力の低さが問題で、まあ一長一短という感じがします。

給電能力を補うために、Raspbery Pi 4にUSB 3.0接続の3.5インチHDD(電源付き)を組み合わせることで、NASとして十分な性能が得られるかと思います。

Raspberry Piがお好きでしたら、よろしければ、ぜひともお試し下さいませ!

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